金子 拓也 オーナー（ウチルカ)のインタビュー

ガソリンスタンドの2代目が地元にオープンしたカフェ

生まれも育ちも青葉区鴨志田です。地元で父親が経営していたガソリンスタンドを継いだのですが、ほかにも何か事業を始めたいなと。ちょうど当時、ガソリンは価格競争に入っていて「もっと安くならない？」と他店と比べられたりしたんですね。でも飲食業には、そういう値下げ交渉がない。例えば、ビールはお店によって値段が違うけど、それに対して何も言わないじゃないですか。お店の雰囲気がいいから、マスターが好きだから。「人は財産」だという考えも持っていたので、そういった人間性で商品を売ることができる飲食業に魅力を感じたんです。最初はあざみ野にたこ焼きバーをオープンしました。関西にはよくあるんですけど、関東だとちょっと珍しかったので好評をいただいて。ちょっと欲が出てきて2軒目はたこ焼きだけじゃなく、ちゃんと料理ができるカフェにしたいなと思い、2010年にこの「ウチルカ」をオープンすることになりました。

新たにスイーツ販売もスタート！

当初は、ママさんたちの癒しになるママカフェといったコンセプトでしたが、2020年に店内を改築して、タルトや焼き菓子などお菓子作りの工房を併設しました。お菓子の専門学校を卒業したスタッフから「お菓子を販売したい」という声が上がったので「じゃあ、やってみようか」という感じで始めたところ、お客様から支持をいただいて。通販も含めて、本格的に販売しようと決めました。ちょうどコロナ禍、飲食業としてはちょっと厳しい状況になってしまった時期と重なりましたが、いいタイミングで方向転換ができたのかなと思っています。21年6月からは楽天市場での販売も始まり、チーズケーキ部門でデイリー売上ランキング1位をいただきました。話題のスイーツと言っていただけているようでありがたいです。

スタッフの意見を取り入れてのお店づくり

当店の特徴は、スタッフの意見をなるべく通すようにしていること。スイーツのほか、手作りドレッシングも販売していますが、これもスタッフの意見を反映して商品化したものです。具沢山で無添加、無着色。玉ねぎなどは、地元でとれたものを使っています。農家さんとも連携して地産地消といった取り組みもしています。そう思うと、当店のスタッフだけでなく、地域の皆さんにも協力していただき、いろんな意見を取り入れたお店づくりをしているといった面もありますね。人との出会いで続けられているようなものです。

今後も時代にあわせて柔軟に

ドレッシングは横浜市のふるさと納税の返礼品にも選んでいただいているのですが、今後は全国のみならず、世界中の人に「ウチルカ」の味を食べてもらいたい。コロナ禍では難しいかもしれませんが、いずれは空港で販売してお土産に持って帰ってもらったり、日持ちするものを通販で取り扱ったり。インターネットに垣根はないですから、可能性はいろいろと探っていきたいです。

これまで時代にあわせていろいろとやってきましたが、今後も時代に逆らうことなく、その時流にあわせたことを考えていきたいです。昔は何よりも人が財産だと思っていましたが、今は少し考えが変わった部分もありますし。非接触が当たり前の時代、自動販売機でスイーツを販売したらどうかなど、これまでの考えに執着することなく時代にあわせて柔軟に対応していきたいですね。

青葉区は何でも挑戦できる街

ここ青葉区鴨志田は住宅街ですから観光スポットもないし、歴史も名物もない。だからこそ、新しく何かを生み出せばそれが強い魅力になる。何でも挑戦できる街だと思います。ここまでの経験を活かしつつ、今後も挑戦を続けていきたいですし、街の皆さんと一緒に楽しいことができたらいいですね。農家さんと提携したり、郵便局にドレッシングを置いてもらったり。商店会も同世代の方が多いので、一緒に何かしたいなと話しているところです。皆さんと一緒に地域全体を盛り上げていきたいと思います。

もちろんカフェとしても引き続き営業していますし、新たに始めたスイーツも自信作ですので、ぜひ気軽に遊びに来る感覚でいらしてください。

※上記記事は2021年7月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。