松島 理恵 代表（HAPPY SMILE 倶楽部（ハッピースマイルクラブ）)のインタビュー

ダンスが好き。子供が好き

ハッピースマイル倶楽部は、４人の幼稚園生による小さなクラスから始まりました。最初は近所の集会場に子供を集めて、リズムの取り方やダンスの基礎を教えていました。幼稚園のお遊戯がちょっとレベルアップしたくらいで、ダンスって楽しいと思ってもらえれば十分。園バス停へ手作りのチラシを配って周り生徒を集めていましたが、口コミで少しずつ広まっていき、私一人の力では足りないと感じていたところに、一緒にやりたいと言ってくださる先生が加わってクラスが増えていきました。私自身がヒップホップに出会ったのは、20代の頃に通っていたスポーツジムです。ヒップホップは音楽としてよく聴いていましたが、ダンスの方は今ほどメジャーではありませんでした。しばらく習った後、結婚や出産などで一旦離れ、再び始めたのは子供が幼稚園に通っていた頃。スポーツセンターで見つけたヒップホップのワンコインレッスンに通い始め、そこから本格的にはまっていきました。当時習っていた先生に「やってみたら？」と言われたのが、インストラクターになったきっかけです。ヒップホップが好きだったし、何より子供が大好き。最初は本当に軽い気持ちでしたね。

子供との信頼関係を第一に

今、ハッピースマイル倶楽部では未就園児から、80代まで幅広い年齢層に通っていただいています。子供向けのダンスのクラスはヒップホップ、ジャズ、ブレイクダンス、チアダンス、ハウス、フリースタイル、KーPOPなど、ほぼ全てのジャンルがあり、それぞれがレベルで分かれています。色々なダンスを楽しんでほしいので、クラスは幅広く揃えました。私は自分が子育てをしているということもあり、レッスンではその子の性格に合わせて、寄り添いながら指導することを大事にしてきました。子供によっては褒めて伸びるタイプと叱られて伸びるタイプがいるので、ゆっくりと接していきながら性格を見極めることを心がけています。その子のことを何も知らないうちに頭ごなしにものを言えば子供の方も引いてしまいますよね。でも信頼関係が築けると、こちらの話を素直に受け入れてくれるようになる。まずは心を開いてもらうことが大事だと思っています。

地域活動で心まで育てる

2021年の9月に「ダンスでつなげよう！！市が尾の輪」という動画を制作しました。子供たちが地域のお店に訪問して、メッセージをいただいて一緒にダンスをする応援動画です。子供たちは友達と意見をぶつけ合ったり葛藤したりする経験から大切なことを学ぶと思います。ところが、そんな学びの機会でもある学校の行事などがコロナによってなくなり、子供の心の成長が少し心配になってしまいました。ハッピースマイル倶楽部でもダンス大会や発表の場がなくなったり、地域のお店でもコロナで集客に困っている、という声を聞きました。そんな中で子供たちと一緒に何かできないかと考えて生まれたのがこの動画プロジェクトです。私の方では大枠だけ決めて、あとは子供たちに任せました。ダンスの振り付けはもちろん、お店の参加交渉も。最初はお店の人を前にしてみんなモジモジしていました。ところが少しずつ慣れてくると、自分たちが何をしたいのか、どんなことを伝えたいのかを一生懸命話すようになり、快く参加してくださるお店も出てきました。このような地域活動は今後も続けていきたいと考えています。子供たちには人に対して自然に手を差し伸べられる人になってほしいですね。他人に手を差し伸べるのって、実は少し勇気がいること。だからこそ地域活動などで色々な人と接する機会を増やして、その勇気を育てていきたいと思っています。

大人も新しいチャレンジを

ハッピースマイル倶楽部には大人のためのジャズダンスのクラスもあり、今の生徒さんたちの平均年齢は60歳くらい。昔やっていた人もいれば全くのダンス初心者もいますし、お孫さんが楽しそうに通っているのを見て始めたという方もいます。みなさん汗だくになって、「脳トレ」などと言いながら（笑）和気あいあいと踊っています。大人になって新しいことにチャレンジするのっていいことですよね。それに、うまくできない動きなどをインストラクターに指摘されて少し悔しい思いをするのも、大人には新鮮な刺激になるのではないでしょうか。普段のお仕事やお家の中ではなかなかできない体験だと思います。今日もヒップホップのクラスで69歳の方にブレーキングというステップをレクチャーしましたが、ヒイヒイ言いながら頑張っていらっしゃいました（笑）。私はヨガのクラスも担当していて、高齢の方には椅子ヨガもおすすめです。実はダンスのインストラクターの他に介護施設での仕事もしており、高齢者の方のお世話をする中で椅子を使ったヨガのプログラムを思いつきました。椅子を使って立ったり座ったりするような簡単な動きが中心なので、安定していますし負担もあまりかかりません。動かせる部分を鍛えることで、いつまでも自分の足で歩くことを目標にしています。

ここに来れば楽しいことがある！

ダンスは音楽に合わせて体を動かせる楽しさもありますが、チームで踊ることが多いので、その中でチームワークや自主性などを身につけることができます。今もハロウィンの発表会に向けて、チームで練習を頑張っているところです。自己表現がちょっと苦手という子にもダンスはおすすめかもしれません。ハッピースマイル倶楽部には青葉区だけではなく、都筑区や緑区など色々な地域から子供たちが集まります。幼稚園から高校生まで、学校も学年も超えた幅広い友達ができる良さもあります。入ったばかりでまだうまく踊れない子に対しては、周りの子供たちが教えてあげたり一緒に踊ったりしてくれます。自分も最初は上手に踊ることができなかった、ということを子供たちには忘れないよう話しています。ダンスは全くやったことがない、という方でも楽しめるクラスもあります。大人も子供もここにくれば何か楽しいことがある。ハッピースマイル倶楽部はそんな場所であり続けたいですね。

※上記記事は2022年10月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。