美容師を志されたきっかけと、現在に至るまでの経緯について教えてください。
東京に出たくて、まずは大学受験を考えました。しかし大学卒業から先のビジョンが見えず、勤め人になった自分を想像できませんでした。ぼんやりとですが、お客さんと一緒に何かを作り上げていく仕事をしたいと考えていました。しかし大学受験という王道ルートから外れることには勇気が要りましたので、結局その年の暮れまで悩みました。しかしいったん進路を美容師に決めると、目の前がパーッと開けたような気持ちになり、年が明けてすぐ東京に引っ越しました。当面は友人宅で厄介になる形でしたが、4月に美容学校に入学して1年間勉強した後、インターンで最初のお店に就職して美容師免許を取得しました。学芸大学にある最初のお店では、東京に出てきたばかりのわたしにいろいろな手ほどきをしてくださり、お世話になりました。
最初のお店で3年ほど修行させていただいた後、青葉台に開業しました。バブル時代が訪れる前の1986年で わたしは当時27歳でした。まだこの街も現在のように開けてはおらず、のんびりしていました。お住まいの方はちょうど自分と同世代である30代前後のファミリー層が多かったので、子育て中のお母さんが気軽に来店できる空間にしたいと考えました。お子さんを旦那さんに預けて出かけるのが難しく、子育て中のお母さんにはおしゃれを楽しむことも難しい時代でした。そこでお子さん専用のスペースを設け、おもちゃやビデオゲームを置いて楽しんでいただけるようにしました。現在では当たり前になりましたが、当時は大変喜んでいただけました。
当時は若かったので、一方で腕に磨きをかけてより高度なカットを提供することも重視していました。DCブランド全盛期で、街には雑誌の誌面から飛び出したモデルさんのよう方がたくさん歩いていたのです。ややモード系で少しとんがったスタイルに合わせるような髪形を研究していた時代でしたね。しかしその後はソバージュなど手入れがラクなスタイルに移行していきました。
そして現在は、よりヘアケアが重視されるようになってきました。特に2011年の東北大震災を契機に、「安心安全」というキーワードがクローズアップされるようになってきました。もちろんきちんとしたスタイルを作れることは大前提ですが、その上でお客様および環境の双方に安全な薬剤を使って髪と頭皮の健康をはかることを課題としています。
『美容室KOGA』さんのお店のコンセプト、セールスポイントについて教えてください。
わたしたちのコンセプトは、健やかな髪と頭皮です。そこで現在は、「予防」の観点からのヘアケアを一番大切に考えて日々お客様のケアをさせていただいています。ダメージが出てからですと修復に時間もお金もかかりますので、最初からダメージを出さないようにケアをしていくことです。お客様には日々の髪のお手入れだけではなく、お食事を始めとする生活面でのアドバイスもさせていただいています。また「身体に有害な成分」を極力排除し、髪と頭皮を健やかに保つ製品の発掘にも努めています。わたしもスタッフも日々熱心に研究を重ね、さまざまなアンテナを張って情報収集を続けています。
ヘッドスパで「Estissimo」というブランドを使っていらっしゃるそうですが、特徴を教えてください。
「Estissimo」はトータルビューティを謳ったブランドで、「Esthetic」(審美、美の追求)と「Issimo」(イタリア語で最上級を表す接尾辞)を掛け合わせた造語です。1973年に日本で初めてエステティックの機器を紹介し、2003年にはエステティックの発想でお客様にリラクゼーションとトータルケアを提供するヘッドスパを最初に提供したブランドでもあります。日本の気候と日本人の肌、髪を研究してさまざまなケア製品をトータルサービスでご提供しています。
当店ではこのサービスを利用することで最大限の効果が得られるよう、薬剤や使う水も独自に工夫しています。お客様の地肌や髪質に合ったものを考えて選んでいます。
くせ毛や縮毛の方向けのケアも重視していらっしゃるそうですね。詳しくお聞かせください。
当店のくせ毛・縮毛ケアでは、ヘアアイロンとアルカリ性の薬剤を使っていません。あらかじめ頭皮をしっかり保護し髪を保湿したうえで、独自の薬剤を浸透させドライブラシを使って丁寧にクセを伸ばしていきます。従来の縮毛ケアはヘアアイロンを使い、180度前後の熱で髪を矯正していくものでした。180度の熱を髪に照射しますと髪の中のたんぱく質が変質して傷みます。しかしこの方法ですと、照射される熱の温度はせいぜい100度程度で変質は避けられます。この施術は「PASTストレート」という名称で知られています。お客様にとってはさまざまなメリットがありますが、手間がかかり値段も高額になりますから、導入を見送る美容院も多いようです。ですので、埼玉など遠方からこの施術のためにお見えになるお客様もいらっしゃいます。
この施術はストレートになった髪と、新たに毛穴から伸びてきたクセのある髪との境界線がわかりにくいのもひとつの特徴です。この境界線がはっきりしていると髪がまとまりにくく、より頻繁なケアが必要になります。
サービスで心がけていること、そして地域のみなさまへのメッセージをお願いします。
心がけておりますことは、1人のお客様に対して1人のスタッフが専任でつき、シャンプー以外のすべての施術とサービスを担当することです。ご来店の瞬間からお客様の状況を把握し、お1人ずつに合わせたサービスをご提供します。
最近は青葉台地区でも年齢層が高くなってきています。そこで2年ほど前に改装し、ご高齢の方もくつろいでいただける空間にしました。また先ほどお話ししました「安心安全」のコンセプトですが、当店ではシャンプーや薬剤以外に水にもこだわり、お客様1人ずつに専用の電解水をご用意しています。この電解水は分子が細かく、殺菌作用があることが特徴です。シャンプー前にこの電解水で処理しますと、雑菌が除去されてかゆみがなくなるほか、汚れがなくなるのでシャンプー剤の量を少なくできます。オーガニックのものを使ってはいますが、シャンプーは少ないに越したことはありません。またこの水はバリアを作って頭皮を保護し、カラーリングなどの薬剤が頭皮に入り込みにくくなります。一方でキューティクルを開かせ、髪の中に薬剤が入りやすくします。髪の内側の層まで浸透して保湿をしますので、髪が潤います。また頭皮に残留した有害なアルカリ剤を除去するのにも役立っています。
これまでカラーリングなどで不具合を感じ、ケアに悩まれていたお客様には是非一度お脚を運んでいただけたらと思います。店のスタッフが全力でお客様のお悩みを解決させていただきます。
※上記記事は2014.10に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。
カットクラブコガ 古賀 和仁 店長 KAZUHITO KOGA
- 好きな言葉・座右の銘: ケセラセラ
- 好きな音楽・アーティスト: 矢沢永吉、吉田拓郎
- 好きな場所・観光地: 長崎
- 出身地: 福岡県
- 趣味・特技: バスフィッシング
- 好きな本・愛読書: 「海賊とよばれた男」(百田尚樹著、2012年講談社刊)、「なぎさホテル」(伊集院静著、2011年(デジタルブックファクトリー刊)
- 好きな映画: 日本の任侠映画、および松田優作の出演作品