中村 琴子 オーナー（Kotoko＆【コトコト】)のインタビュー

女性のメンタルケアに力を入れたい

以前、あざみ野でマリーズケアというサロンを開いていました。そこは母から受け継いだお店で、そろそろ20年を迎えるというタイミングで閉めることにしたんです。今から3年ほど前、ちょうど新型コロナウイルスが出てくる少し前でした。
閉店後もありがたいことに、かつてのお客様から「またやってほしい」と言っていただいて、コロナ禍になってこのような仕事が難しくなってきた頃でしたが、レンタルサロンを利用しながら続けていました。
同時にオンラインカウンセリングも始めました。メンタル面のご相談が中心で、コロナによって気持ちが塞いでいる方が多かったですね。夫婦関係や子育てのことなど、友達にも会えないからちょっとした相談もできなくて。それとご自分の親との関係で苦しんでいる方から関係を見直したいというご相談もたくさんいただきました。コロナによってこれまで見えなかったことが表面化してきたのだと思います。
約2年、さまざまなお客様のお話を伺って、自分がやっていることは世の中の女性に絶対必要なんだという想いを強くしました。これまでよりもさらにメンタルケアに力を入れたいと考えていたところに、ちょうど今の場所が空いたという知らせを受け、新しくサロンを開くことにしました。

深いリラックス効果を感じる不思議なマッサージ

「Kotoko &」と書いてコトコトと読みます。琴子と共に、琴子と一緒に、という意味を込めました。メニューはボディやフェイシャルなどのアロママッサージと、セラピーやカウンセリングなどを組み合わせたメンタルケアになります。
マッサージや手技は、解剖生理学に基づいたリンパマッサージと35年以上の経験を融合した完全オリジナルメソッド。「不思議なマッサージ」と言ってくださるお客様が多く、ちょっと他のサロンとはタッチの仕方が違うかもしれません。よく驚かれるのですが、ボディケアではまず最初に尾てい骨あたりにある仙骨という部分から触れていきます。そこを触れることで副交感神経に刺激が加わり、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌されます。お客様によれば「脳がふわふわと浮かんでいるよう」な深いリラックス効果が感じられるそう。終わった後は今の流行りで言う「整う」ような感覚になります。

壊れても直さない、ゲシュタルトセラピー

コトコトのメンタルケアは、ゲシュタルトセラピーをベースに行っています。ゲシュタルトセラピーの根底にあるのは、壊れたものを直そうとしないという考え方です。何かを直そうとすることは、つまりその状態が「良くない」とジャッジするからですよね。それは人の心にも同じことが言えて、例えば自分が良くない状態だったり「壊れてしまった」と感じても直そうとせずに、ありのままの自分を見つめてみたり、自分の中に何があるかを探っていきます。

たくさんのお客様のお話を聞いて感じるのは、子どもの頃から育ってきた環境の中で思考の癖やパターンを身につけてしまっている方が多いこと。親から「どんなあなたでも、そのままでいいんだよ」と言われて育った方って実は少なくて、どちらかと言うと「お勉強ができてえらいね」「片付けができていい子だね」と言われてきた方が多いんですね。すると「それができないのはダメなんだ」と考えるようになり、逆に自己肯定感が低くなるケースがあるんです。ですから自分に自信がなかったり、コミュニケーションが苦手な方は、「自分は自分のままでいいんだ」ということに気づけると、自分らしさを取り戻せるようになります。
実は私自身も、親との関係で過去に辛い思いをしており、自分の子どもにも同じように接してしまうのではないのかと不安でした。私がメンタルケアについて学び始めたのも、それがきっかけで、ゲシュタルトセラピーによって子どものありのままを見て育てることの大切さを知ることができました。

心も体も癒せるセラピストを育てたい

以前はメンタルケアのワークショップも開催していましたが、コロナ禍になってからはセラピスト養成スクールに力を入れるようになりました。ある時お客様から、私の技術を学びたいと言われたのが、セラピスト養成を始めたきっかけです。コトコトには看護師さんや整体師さんなどのボディケアのプロも多く通ってくださっています。そのようなプロの方もご自分の仕事に活かしたいということで学んでいらっしゃいます。
私がお教えしているのは、単なるアロマセラピストやマッサージ師になるための技術とは少し違うかもしれません。スクールではまず自分の心のケアから始めます。というのも、自分がしっかり地に足をつけていないとお客様から疲れや邪気のようなものをもらってしまうことがあるのです。もちろん手技を身につけることも大事ですが、お客様のより深いところに入っていって相手を受け止めるためには、自分のメンタルを鍛えて整えることが大切。セラピストがリラックスして元気だと、施術を受けるお客様もリラックスして元気になります。そういうものって触れると伝わりますので。
私は全ての女性がセラピストの才能を持っていると思っています。過去に傷ついた経験のある方ほど、他人の痛みが分かってあげられますしね。養成スクールの卒業生の中には自分のサロンを開いた方もいれば、お友達にやってあげて喜んでもらったり、ご家族の介護やボランティア活動に活かしている方もいます。商売をするためだけではなく、女性たちが「まだまだ世の中に役立てるんだ」「私は大丈夫だ」と思えるようなお手伝いをしたいと思っています。

あるがままの自分でいいと思える場所に

コトコトは、どんな感情を出してもいいスペースです。実際に自分の中に溜まった感情を吐き出すために思い切り泣きにくる方もいらっしゃいます。今は悲しみや我慢などをいっぱい溜め込んでいる方が多く、メンタルケアではその溜め込んだ負の感情を吐き出すことがとても大切です。
何かに気づいても気づかなくても、何を言っても感じても私はジャッジもコントロールもせずにひたすら見守ります。あなたはあなたのままでいい。それを一番お伝えしたいですね。ちょっと不安が強い方や自分らしさを取り戻したい方、心も身体も何となく調子が出ないという方はぜひご相談ください。
ここ数年オンラインを中心にメンタルケアをやってきましたが、対面で行うとまた違った感覚があるかと思います。ぜひお店に足をお運びいただければうれしいです。

※上記記事は2023年3月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。