本宮 勇人 院長（本宮歯科医院)のインタビュー

歯を失う大半の原因は、虫歯ではなく歯周病

父が循環器系の医者でしたので、知らず知らずのうちに医療の道に進むことを選んでいました。歯医者の叔父がいたことも、進路を決めるための大きな影響だったと思います。  

大学で歯学部に進み、歯科の知識を得る中で「歯を失う大半の原因は、虫歯ではなく歯周病」ということがわかりました。歯周病は成人の8割がなるといわれている生活習慣病なんです。歯茎が腫れるような歯肉炎は、第一歩の段階といえるでしょう。 

  当時はまだまだ歯周病の治療が進んでいなかったため、歯周病で困っている患者様を、しっかり診ることができる歯科医の必要性を感じましたね。大学院を出てから、下北沢の歯科医院の院長として携わったあと、学んできた専門性をより活かすために、2009年に「本宮歯科医院」を開院しました。

口腔内の写真撮影やアニメーションで説明  

歯にとって一番大切なのは「正しい歯磨きを行うこと」です。どんな症状も歯をきちんと磨き、バイ菌を取り除かなければ治りません。ですから、診療では丁寧でわかりやすい説明を心がけ、患者さんに日頃のケアを意識していただけるように工夫しています。 当院では歯茎の「ポケット検査」を行っています。一つの歯に対して6ヶ所の歯茎の 深さをチェックするためチクチクとした感じがしますが、重要や検査なのでぜひ多くの方に受けていただきたい検査です。

また、治療台には口腔内の写真を撮影できるよう、小さな小型カメラが設置してあり、治療中の患者様自身に口の中の様子を見ていただいてるんです。その他にも、口腔内をイラストにしたアニメーションを使って現状を説明することもありますし、前回と今回でどれだけ改善されているかをイラストにして患者さんにお渡ししています。 

普通は自分で口内の奥まで見ることができませんよね。しかし、実際に見ることができなければ、日頃のケアに意識が向かないのです。「どのくらい歯茎が腫れているのか？」「どこが歯ブラシで磨ききれていないのか？」そういうことをご自身の目で確かめていただけるようにすることが、私の使命だと思っています。

ご自身の歯で、食事をおいしく召し上がっていただきたい

私が思う理想的な治療のゴールは、患者様にご自身の歯で食事をおいしく召し上がっていただくことです。ある患者様が当院にいらっしゃったとき、「何でこんなことをしなきゃならないの？」と治療に対して消極的でした。しかし、治療を施す中で少しずつご自身でもケアに取り組まれるようになり、「歯茎がピンク色になって、口の中がネバネバする感じもなくなった！」と喜んでくださいました。最終的には矯正治療も決断され、見た目だけでなく機能的にも歯が改善されたんです。

こんなふうに患者様にとって一番理想的な歯へ導いていけたときは「うれしいな、よかったな」と心から思います。 近年では、国から歯の重要性がようやく認められるようになってきました。保険を適用できる範囲も広がり、多くの方に予防治療を受けていただけるようになりましたね。

テレビ番組『あいのり』を通じて、様々な価値観を実感

以前、フジテレビの人気恋愛バラエティ番組『あいのり』に、“歯医者”って名前で出演したことがあるんです。今でいう『テラスハウス』に近い番組でした。本人の意向を無視して医局の後輩が勝手に応募して……。いきなりフジテレビから「ぜひ参加していただきたいんですが」と電話がかかってきました。撮影の中で、私はアフリカのエチオピアに行ってきました。結果的に速攻でフラレて、2週間ほどで帰ってくることになったのですが（笑） 

歯医者をしているだけでは決して会うことがなかったであろう人達と、たくさん知り合うことができたことが良かったですね。皆さん、個性的でおもしろく、彼らと触れ合うことで様々な考え方や価値観を実感できたことは、大変有意義な時間だったと思っています。

歯周病の専門医として、全身の健康を守っていく

「どの歯科医院を選ぼうか」と悩まれたとき、歯周病専門医を選んでいただくことは、全身の健康も含めて改善することができると思います。 実は歯科医療の論文のトピックスは、歯周病に関するものが多いんです。例えば、動脈硬化や心筋梗塞のような血管を詰まらせる病気には、歯周病が絡んでいることが知られるようになりました。 その他にも、脳の病気と関係しており痴呆症につながる可能性がある、という研究結果もでているほどです。 

「様々な病気の原因は、歯周病かもしれない」といわれている状況で、歯周病の治療はこれから非常に重要になってくると思います。3か月に一度は歯科医院での診察を受けていただき、多くの方に歯の予防を意識していただきたいですね。

※上記記事は2021年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。