加久浩文 院長(カク小児クリニック)のインタビュー

カク小児クリニック 加久浩文 院長

カク小児クリニック 加久浩文 院長 HIROFUMI KAKU

青森県出身。聖マリアンナ医科大学大学院卒業。同大学病院、弘前大学医学部附属病院、浜松赤十字病院で勤務後、聖マリアンナ医科大学病院に戻り小児科医長、非常勤講師に就任。横浜総合病院 小児科部長を経て、2002年にカク小児クリニック開院。

臨床に生きがいを感じて

津軽の小児科の家に生まれました。父親の兄弟も皆、医師の家系。そのような環境だったので、子どもの頃から将来自分も医師になるのだろうと漠然と思っていました。
祖父が牧師だったこともあって、ミッション系の聖マリアンナ医科大学へ入学しました。小児科への道は頭のどこかで意識はしていましたが、色々と揺れ動いていましたね。はっきりと決めたのは実は医師国家試験の直前なんです。今のクリニックを開院する前は、できて間もない横浜総合病院の小児科に勤務していました。当時は子どもの多いエリアで、小学校がたくさん立ち始めた頃です。小児科にも多くの患者さんが来て、隣の科の待合まで列ができるほどでした。横浜総合病院で働いて感じたのは、やはり臨床に向いている、ということかな。医師として自分のキャリアを考えた時に、大学に戻るという選択肢もあったかもしれません。医科大学の3つの柱は教育と研究と臨床ですが、論文を書いたり誰かに教えるよりは、現場に立って研鑽をつみたいと思いました。そこにやり甲斐を感じたのかもしれません。そしてたまたま、大学時代の先輩からこの場所を紹介され、開院する事にしました。思えばすべて流れに乗って、ここまでたどり着いたようなものです。

目も皮膚も心も。子どもの病気はすべて診る

この場所にクリニックを開いた5年後、近所に黒須田小学校が開校しました。もう15年以上、校医として関わらせてもらっています。おもな仕事は就学前健診と春の健康診断です。春の健診では、お昼休みに1学年ずつ、1年生から6年生まですべての子どもの身体を診ます。全部で6日間学校へ赴く、春の恒例行事ですね。カク小児クリニックの診療方針は、患者さんのバックグラウンドに合わせたオーダーメイドの診療。例えば保育園に通っているお子さんであれば、3回で飲む薬を2回に分けるとか、食前食後を気にしなくてもいい薬を処方するといったことです。もうひとつ、小児科はオールマイティでなくてはいけません。子どもに関する病気であれば、お腹も皮膚も目も診させていただきます。そして心の不調にも関わっていきます。最近は咳や風邪で受診されるお子さんよりも、頭やお腹が痛くて学校に行けない、というご相談が増えてきたように感じます。小児科のかかり方も昔とは少し変わってきたのかもしれませんね。最初は体調が悪いと言って来院されるのですが、診察してみても特に悪いところが見つからない。詳しく話を聞いていると原因はどうも体の方ではなさそうだ。そのような時は、一旦お子さんは待合室に出てもらって、親御さんとだけお話をすることもあります。その結果、専門的な診察が必要と判断した場合は、小児神経の専門医でもある息子(加久翔太朗医師)に繋ぐという流れにしています。

メンタルも発達も、小児科として包括的に診療

【加久翔太朗医師】
普段は聖マリアンナ医科大学の小児科に勤務をしており、週に1度こちらで診療をしています。最近は発達に関するご相談も増えています。幼児であればなかなか言葉が出ないとか、もう少し大きくなると学校でお友達とうまく関わることができないといったことですね。詳しくお話を伺った上で、必要に応じて薬を処方したり、メンタル面が影響しているような場合は、学校カウンセラーにお繋ぎしています。私自身は小児神経を専門としていますが、それだけを診ているわけではありません。風邪も腹痛も新型コロナの診察もします。世の中の流れとして、小児神経や発達障害を標榜する方が、クリニックとして特徴を出しやすいのかもしれません。けれどもカク小児クリニックでは、それを小児科として包括的に診させていただきます。だからメンタルの不調でお腹が痛い子の診察もしますし、学校に行けないのであれば、それも診察します。これも父が言う「患者さんのバックグラウンドに合わせたオーダーメイドの診療」ということの一つかと思います。専門の先生が不在だから、予約がいっぱいだから、そういったことでお断りすることがないよう、院長と連携をして診察をしています。来院が難しいお子さんの訪問診療も行っています。

感染症の専門医として社会防衛に努める

当院は、通常の患者さん用の入口と感染症の疑いがある患者さん用の入口の2つがあります。私は感染症の専門医でもあるので、開院当時からこのようなつくりになっています。院内の導線も完全に区切られており、感染症疑いの方と一般の方が同じ空間を共有することは一切ありません。今年は新型コロナウイルスとインフルエンザが同時流行すると云われていますが、現時点(2022年11月)ではまだインフルエンザは流行っていません。新型コロナを除いては、感染症そのものの流行は全体的に減っています。ノロウイルスも手足口病も確かに流行りましたけど、昔ほど爆発的に広がった印象はありません。やはりマスクの習慣が大きいと思います。子どものワクチン接種に関しては、様々な考え方があるようですが、私は当然受けるべきだと思っています。ワクチンには2つの役割があって、一つは感染症から自分を守るための「個人防衛」。もう一つは、たくさんの人がワクチンを打つことで社会全体から感染症が減っていく「社会防衛」。中には免疫不全でワクチンが打てないお子さんもいて、その子を守るためには周りが感染症にかからないようにすること、つまり社会防衛が大切なんです。どうしても副反応が出る人というのは存在する。けれども、みんなが打つことで感染症にかかる人が減るのも事実。健康な子に注射をするという心理的ハードルもありますが、大多数のドクターはワクチンを接種していくべきと考えているのではないでしょうか。

信頼関係を結べるドクターを

開院して20年ほどが経ちましたが、予防接種にいらした患者さんから「先生のおかげで医学部に合格しました」と報告を受けたことがあります。小さな頃から診ていた子で、こんなドラマのようなことが本当にあるんだなぁと思いました。私のおかげかどうかは分かりませんが、何らかのきっかけを与えられたのかな。仮に社交辞令だったとしても嬉しいです。(笑)
この辺りにはたくさんの小児科があります。子どもを持つ親御さんには、信頼関係を結べるドクターを見つけてほしいですね。ドクターショッピングという言葉もありますが、合わないなと感じたら、どんどん次に行ってみてもいいと思います。まずは話してみて、合う合わないを見極めてみてください。

 

※上記記事は2022年11月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

カク小児クリニック 加久浩文 院長

カク小児クリニック加久浩文 院長 HIROFUMI KAKU

カク小児クリニック 加久浩文 院長 HIROFUMI KAKU

  • 出身地: 青森県
  • 趣味: TV視聴
  • 好きな本・愛読書: 芥川賞作品、ヨシタケシンスケ「ころべばいいのに」
  • 好きな音楽: ロック、タンゴ、ジャズ、クラシック、ソロなど
  • 好きな言葉: 努力とは少しの我慢と少しの無理(院長オリジナル)
  • 好きな場所: ディズニーランド

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