谷本歯科医院 谷本 隆 院長 TAKASHI TANIMOTO
大学卒業後、勤務医として幅広い症例に携わり、スキルを磨く。2001年より父の医院を手伝うようになり、現在は院長として地域住民のお口の健康を見守っている。
大学卒業後、勤務医として幅広い症例に携わり、スキルを磨く。2001年より父の医院を手伝うようになり、現在は院長として地域住民のお口の健康を見守っている。
父が歯科医で、その姿を見ていて憧れを持ちました。上手にやれば楽できるかなとも思いました。だけど、僕自身が楽のできない性格だということに気づいたんですね(笑)。僕は、来てくださった方には期待以上の成果を示してあげたいわけですよ。そうなると、歯科医という仕事はなんと厳しく辛いものかと実感しました。そして憧れは、父からある先輩医師に変わったんです。大学を卒業して最初に勤務した横浜の岩崎歯科医院のドクターです。まず、腕がいい。腕がいいというのは、勉強をちゃんとしているということです。だから科学的かつ医学的な裏づけのある仕事をしている。それを見て、とても美しいと思いました。経験を積んだ医師は、ともすればその直感だけでやっていこうとします。先輩ドクターはそうではなく、一つ一つの所作がすべてロジックで成り立っていたのです。
給料なんかもらえなくてもいいから医者としての姿勢を学びたいと思って、その人に師事しました。自ら望んだのにもかかわらず、先輩ドクターから言葉と態度で徹底的にしごかれ、結構こたえましたね。それに加えて、岩崎医院には大学同期の、しかも特待生だった友人と入ったものですから、彼とも比べられて精神的にきつかったです。おかげで、本当に鍛えられました。
その後、複数の医院を経て2001年にこのクリニックに入りました。院長である父の跡を継ぐためだと思われそうですが、一番の動機は、小さい頃から暮らして愛着があり、知り合いも多い、慣れ親しんだこの地で腕を振るいたいというものでした。
感動を与える診療を意識しています。患者さんの期待以上のことを成し遂げたい。生意気に聞こえるかもしれませんが、アベレージレベルの仕事では僕が満足できないんですね。治療で感動を与える、キャッチコピーとしてはカッコいいですが、実際はとても難しいです。ある病気に対して、いい治療っていうものがあったとしても、それがすべての人にとっていいとは限らないわけですよ。 みなさん、幸せになりたいと思った時に、その方の持っている時間とかお金とか、リソースがあるわけですよ。それをどう分配するか。給料をもらったら、食費にいくら、住宅費はいくら、車は……というようにポートフォリオを組みますよね。僕らの価値観でそれをどうしろとは言えないです。ただ、バランス良く健康にももっと投資をすればいいと思いますね。患者さん一人一人の思いを汲み取るということです。言葉で言っていることがすべてではない。例えば、治療を早く済ませたいのか、それとも長持ちさせる治療を希望するのかといった、言葉の裏の本当の欲求に気づいて、それをうまく伝えられない患者さんに代わって適切に翻訳することを心がけています。
自分の固定観念に流されないことです。ゼロベース思考というか、先入観を持たないことです。それと、患者さんにも治療に参加していただこうと働きかけています。そのために治療の経過や結果をカメラで写してその画像を患者さんにお見せするようにしています。得られるのはある種の感動です。それとともに、なぜこんなに長い時間治療をしなければならないのか、口を開けてなければいけないのかといったことがわかります。患者さんも、いい治療とか正しい治療をしてもらうだけではなくて、何を、なぜやったのかということがわからないとおもしろくないと思うんです。レストランに行った時も、この野菜、この食材はなんですか? と聞けたら楽しいですよね。同じです。それは、我々と思いを共有してもらうことだと思います。だから治療にも前向きになってもらえる。
数ある歯科医院の中で、ここを選んでくださった患者さんを決して後悔させないようにしたい。そのためには弱点のない医者である必要があるし、時代、時代における高水準の治療をしていかなければなりません。究極の目標は、白い歯でも白くて目立つのではなくて、周りの歯との差異をなくして、「どこを治したの?」と思ってもらえる治療をすることなんです。
時代の変化に伴って成長し、来年の自分は間違いなく今より優れた治療ができるドクターでいたいですね。医者は停滞したら終わりですから。完璧な人間にはなれないんだけれども、完璧を目指そうとするスタンスですね。そのスタンスを持っている限り、自分の存在価値はあるのだと思います。
歯科医院はうまく活用してくだされば、みなさんの役に立つ存在です。決して怖いところではありません(笑)。口の中から全身への貢献、というのも言えますね。お口を拝見して、内臓疾患を見つけたりとか。声高に言うほどのことでもないとは思いますが…。誤解されてはいけないですが、高度な医療ばかりをオススメする先生が患者さんにとってありがたいとは限らないんですよ。三ツ星シェフの料理をすべての人が望んでいるわけではないでしょ。僕は、いざとなったら三ツ星シェフに変身しますし、そうでない時は定食屋のおやじにもなります(笑)。要は、その患者さんにとって何が一番いいかということなんですね。
※上記記事は2021年9月に取材したものです。
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