佐々木 徹 院長（ササキ歯科医院)のインタビュー

歯科医を志したきっかけ、ご専門、青葉台で開業された経緯、開業年について教えてください。

両親ともに歯科医で、長崎でクリニックを開業していました。「継いで欲しい」とは特にいわれていなかったのですが、やはり身近な職業として歯科医師があり、地元の人たちに信頼されながら診療をしてきた両親を誇らしく思っていました。叔母も横浜市内で開業していたのですが、こちらは後継者を欲しがっておりました。私には大都会の東京で先端医療を学びたい希望がありましたので、二つ返事で上京しました。まずは母校の九州歯科大学を卒業してすぐ、横浜市立大学附属病院口腔外科に入局しました。
口腔外科を選択したのは、開業するに当たり口腔領域のみならず全身との関わりを理解し、症状を的確に判断出来る能力を身につけたかったからです。そのような理由から救急処置をマスターすることに力を注ぎました。
一方で現在の再生医療に繋がる「組織培養」を薬理学教室で学び、医局での4年間を有意義に送ることができました。

いよいよ独り立ちして臨床に当たろうとしていたとき、わたしを呼び寄せた叔母が、亡くなりました。そこで新たに適切な場所をさがしていたところ、これから育っていく街としての青葉区に将来性を感じ、この地を選んで自分の手で開業することにしました。開業年の昭和61年には、すでに田園都市線も東名高速道路も開通していましたので、住宅地として大きくなっていく目論見はありました。幸い地域のみなさまに支えられ、30年以上にわたり患者さんのお世話をさせていただいています。

診療方針について教えてください。

私が目指したのは、【包括的な診療】です。必要なら一診療に矯正あり、外科あり、補綴あり色んな技術を駆使して出来得る最高の治療を選択したいのです。具体的に簡単な1例をあげてみましょう。全く歯のない総義歯の患者さんがいました。顎の骨にはゴツゴツした骨の出っ張りがいくつも出来ていて義歯は骨の出っ張りの置くまで入っていきません。こんな状態では素晴らしい型をとっても、当然はずれっぱなしの入歯しか出来ません。歯茎の奥までぴったり入る義歯を作るには骨整形が必要です。そうすることによって快適な義歯ができあがります。

最近は歯周病予防も歯科の最重要課題ですね。どんな指導をされていますか。

80歳まで少なくとも20本の歯を残そうという、【8020運動】が以前話題となりました。顎骨と歯の間に位置する【歯槽骨（しそうこつ）】をいかに健康に保つかが重要なのです。いわゆる歯周病菌は、歯槽骨を侵食しどんどん骨をへらしていきます。これを食い止めなければなりません。
将来年を取って入れ歯やインプラントを装着しなくてはならないとき、歯槽骨が減ってフラットな状態になってしまうと、いずれも装着が困難になります。自分の歯をきちんと機能させるためにも、また修復のための器具を有効に使っていくためにも歯槽骨はできるだけ健全な状態で保っていただきたいのです。

その為にはまず、歯周病菌をどうコントロールしていくかが問題なのですが、困ったことにこの菌は全滅させることができません。口の中にはよい菌と悪い菌が常在しいつもはバランスを保たれニュートラル　ゾーンになっています。体調をくずして抵抗力がなくなると悪い菌が繁殖して害を及ぼします。日常のブラッシングはこのバランスをしっかり保つために、又歯周病菌をいかに効率よく取り除くことが出来るかを指導させていただいています。

ところで唾液もお口にとっては重要な役割を果たしています。
唾液の自浄作用、滅菌作用、潤滑油的な役割、免疫作用、等があり歯周病とも深くかかわっています。

診察で心がけていることについて、教えてください。

第一に安全な治療を心がけています。そのためには、常に患者さんのご様子に目を配り、コミュニケーションを綿密にとりながら治療にあたっています。特に患者さんが緊張されている場合、歯科治療は大変なストレスになります。ですので緊張をほぐしながら、これから行う治療の内容をわかりやすくご説明します。もうひとつは、費用に見合う満足感を感じていただける治療です。「痛みが取れた」「歯並びがきれいになった」など、ご帰宅の際ひとつでも喜んでいただけるよう、誠心誠意尽くさせていただきます。

最後に地域のみなさまにメッセージをお願いします。

虫歯の有無にかかわらず、まずは一度歯科医院まで足をお運びいただき、自分の口の中がどのような状態になっているか把握しておいていただきたいと思います。よく「手遅れ」な状態になってから歯科医院を受診される方がいらっしゃいますが、歯は全身の健康と密接につながっていますから、そうなる前にご来院ください。医学的根拠に基づき丁寧にご説明したうえで、清掃の仕方などをご指導させていただきたいと思います。
※上記記事は2015.5に取材したものです。
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