稲毛 滋自 院長(いなげ矯正歯科医院)のインタビュー

いなげ矯正歯科医院 稲毛 滋自 院長

いなげ矯正歯科医院 稲毛 滋自 院長 SHIGEYORI INAGE

大学卒業後、矯正歯科を専門に研鑽を積む。1990年、横浜市青葉区に開業。

矯正歯科を志されたきっかけと、開業までの経緯について教えてください。

矯正歯科治療とは、検査・診断の後、患者さんのライフスタイルやご希望を十分に伺ってから治療計画を作り、ゴールを長期にわたって二人三脚で目指していくものです。そのようなコンサルタント的な医療のあり方が自分の考え方に合っていると思いました。矯正歯科は歯学の中では後発ですが、わかりやすく論理的な学問分野であり、ヒトの成長を支えていくものであることにも、大きな魅力を感じました。実際臨床に携わりますと、小学生だった患者さんが思春期を経て成長し、以降は大人としての付き合いが始まります。矯正治療を完了した後も、歯を上手に使いたいとフォローアップ健診を続ける方がいらっしゃるため、20年以上の付き合いになる患者さんが多いのです。人生の節目ごとにさまざまな報告をお聞きする瞬間は、歯科医師冥利に尽きます。
大学卒業後は母校医局で研鑽を重ね、35歳になった1990年に開業しました。開業地を決めたポイントは、「患者さんと価値観を共有できるかどうか」でした。出身地である神奈川県内で開業することは考えていましたが、その後はマーケティングの本を読んだり、各種政府統計などを参照しながら絞り込んでいきました。その結果、健康意識が高い方が多く住んでいらっしゃる横浜市青葉区で開業することにしました。

診療方針について詳しくお聞かせください。

矯正歯科治療は患者さんにとって時間的にも金銭的にも負担が大きいものです。せっかく当院を選んで受診していただいたのですから、治療を成功に導かなければなりません。そのためには、患者さん、ご家族、そして歯科医師・スタッフが一丸となって協力し進めていくことが理想です。
診療方針は「患者さんに寄り添う医療を提供すること」。このように申し上げると月並みに聞こえますが、患者さんからすべてを委ねられる存在であることは言葉にするよりはるかに難しいことです。専門分野での研鑽はもちろんのことですが、患者さんが弱さも本音も含めた「ありのままの自分」をぶつけられるような包容力のある医師であることを常に心がけています。

また当院は、機能回復・正常化のための矯正歯科医院です。噛む機能を正常化することで、その方が本来持つ美しさを実現できると考えていますので、「美しさ」をメインとした審美矯正治療は取り扱っていません。

患者さんがお子さんの場合、納得ずくで治療を進めるのは大変そうですね。

患者さんの約3分の2は20歳以下で、小学生以下のお子さんも少なくありません。ただ発育の経過を見守った方がよい場合もあるため、就学前児童などの小さなお子さんは治療を急がずに経過観察を勧めることもあります。
そして治療が始まってからですが…..矯正装置ごとの仕様や注意事項をあらかじめ十分にご説明しても、避けた方がよいものを食べてしまうお子さんはいらっしゃいますね。お友達との付き合いもありますし、ご本人が食事制限に不自由を感じて口にすることもあります。するとその過程で装置を頻繁に外したり、装置自体を壊してしまうことがあります。ほっておくと、その分治療は中断されますしその間に思わぬ形で歯が動いてしまったりします。そこで何か起きたときはすぐに報告していただくよう、お伝えしています。

一方治療を始めてから時間が経つと、お子さんなりに経験値が増えて、臨機応変にやっているご様子をお見受けします。ただし定期健診で治療の進行に滞りがある場合は、装置を外していらっしゃる頻度が高いことが想像できますので、親御さんにそれとなく注意を促すようお願いしています。時間的にも費用的にもロスが出てしまいますので。

矯正治療には費用的な負担も大きいのですが?

たまにご相談をお受けすることもありますが、基本的にプロの矯正歯科医師としてお勧めする治療法をご納得いただけるよう、ご説明を重ねています。
と申しますのは、時折親御さんから「それなりの治療でお願いします」といったご要望をお受けするからです。「それなり」という判断基準はあいまいでとらえどころがなく、ご夫婦の間でも、親子の間でも考え方が異なる場合が多いのです。いったんお母さんの価値観で決めてしまうと、お子さんが成長なさってご自身の価値観が生まれてきた場合に意見の相違が生まれてしまうことがあります。ご家族の間で考え方が違う場合は治療を中断し、一度お持ち帰りいただいています。

歯科医師はお口の状態を客観的に診断し、学識やデータに基づいて成長後のシミュレーションを行い治療計画を立てます。そこには「噛む機能と身体の正常な発育」という基本的な目的が存在するだけですので、どうかご納得いただけたらと考えます。

診察で心がけていることと、地域のみなさまへのメッセージをお願いします。

診療方針のところでもお話しましたが、患者さんを包み込む包容力のある医師でありたいと考えています。ホームページには、治療に見えたお母さんがお子さんを優しく包み込むヒトコマを、許可を得て撮影させていただきました。その心温まるお姿は、当院がずっと抱いている「理想」であるからです。
地域のみなさまには、30年に渡りご愛顧いただいていることに心より感謝を申し上げたいと思います。わたしの考える治療に賛同し、根気よく治療を続けてくださったことは、大きな喜びです。また成長した患者さんが、「進学した」「希望の仕事に就けた」「結婚した」など人生の節目のイベントを報告にいらっしゃると、この仕事を続けてきて本当によかった、としみじみ感じます。これからもご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

※上記記事は2018年2月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

いなげ矯正歯科医院 稲毛 滋自 院長

いなげ矯正歯科医院稲毛 滋自 院長 SHIGEYORI INAGE

いなげ矯正歯科医院 稲毛 滋自 院長 SHIGEYORI INAGE

  • 好きな音楽: オールジャンル
  • 好きな場所: 海辺
  • ・: 日本矯正歯科学会 認定専門医(2006年~)
  • 出身地: 神奈川県小田原市
  • 趣味・特技: 読書、スポーツ全般
  • 愛読書: 文学作品。「老人と海」(ヘミングウェイ)など。
  • 好きな映画: 『セント・オブ・ウーマン/夢の香り』(1992年、米ユニヴァーサル)

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