きくち内科 菊池 敏樹 院長 TOSHIKI KIKUCHI
昭和大学医学部を卒業後、呼吸器内科を専門に研鑽を積む。大学病院で診療にあたるほか、救急医療を経験。2010年、「市が尾駅」そばに開業。
昭和大学医学部を卒業後、呼吸器内科を専門に研鑽を積む。大学病院で診療にあたるほか、救急医療を経験。2010年、「市が尾駅」そばに開業。
私には今でも忘れられない出来事があります。医学部を卒業して研修医として歩み始めたばかりの頃のことです。重症の患者さんを受け持たせていただいたのですが、患者さんの家族に対してたいへん失礼な態度をとってしまったことがありました。当然ご家族はご立腹され、受持医の交代を私の指導医に申し出られたようです。それを伝え聞いた私は、それこそ、24時間、付きっきりで患者さんの診療にあたらせて頂きましたが、残念ながらお亡くなりになりました。その直前、この患者さんはご家族へ、「菊池先生を休ませてあげてちょうだい。あんなに根を詰めていると倒れてしまうから」と話して下さっていたようで、後日、ご家族からそのことを知らされました。ご本人はとてもつらい状況だったのにもかかわらず、私の体調を心配してくださっていたのです。
私は親が医者をしていて、さしたる覚悟もないまま医学部へと進み、医者のタマゴになったに過ぎませんでした。今の私があるのは、その患者さんとご家族の方との出会いがあったからこそだと思っています。あの時の出会いが、私を本当の医者にしてくれたように思うのです。
研修医時代を含め、18年間を藤が丘病院で勤務しました。その間、呼吸器専門医・アレルギー専門医として診療・研究・教育に携わってきましたが、「もっと患者さんの近くで、気軽に身体のことを相談出来る場所を作りたい」と考え、平成22年(2010年)に『きくち内科』を開院し、現在に至ります。
開業するにあたって誓った3つのこだわり。それは、「やさしい医療」「必要な医療」「正しい医療」の3つです。この3つの医療は互いに重なりあっていながら、3つすべてを両立させることは非常に難しいものです。仮に、医学的に正しいものであっても、それが全ての症例に当てはまるわけではありません。正しいだけでは不十分で、その患者さんにとって本当に必要なのかどうかを見きわめ、選んでいくことが求められます。医師として、正しく必要な医療をおこなえ、それを患者さんにやさしく説明をしていく。私はここでそんな医療を提供していきたいと考えています。
開院以来、長引く咳で受診される方は非常に多いと感じています。長引く咳で考えられるのは、風邪などの感染症以外にも、結核や肺がん、間質性肺炎、気管支喘息等が考えられます。特に、風邪を引いた時にいつも咳が長引くという傾向の方の場合、気管支喘息の体質をお持ちである可能性が高いと考えれます。今現在症状が出ている、出ていないに関係なく、気管支喘息の方は継続的な治療が必要になることがあります。その点について十分な理解を得ていただくために、患者さんには時間を掛けて丁寧な説明を心掛けています。その場の症状だけを診るのではなく、その方の病気の履歴を診ていくことが非常に重要です。
このほど呼気一酸化炭素測定器というものを導入しました。これは吐いた息に含まれる一酸化窒素の量を測定する器械であり、これにより喘息の程度を数値化して細かい評価をすることが可能になりました。より効果的で、きめ細かい対応が可能になったと考えています。
睡眠時無呼吸症候群の治療には、CPAP療法とマウスピース療法の2つが挙げられます。このうち、CPAP療法とは鼻にマスクをして一定の圧力をかけることにより、常に空気が送り込まれる状態を作るものです。これにより、寝ている間に息が詰まることがなくなります。睡眠時無呼吸症候群は、根本的には骨格や体型の問題が介在し、完全な治癒は望めません。ですが、ご自身の心掛け次第でその症状をやわらげることは可能です。例えばダイエットがそうで、体重を減らすことによって無呼吸指数は改善に向かうことも多々あります。
健康管理をきちんとおこなうことは睡眠時無呼吸症候群の改善に役立つだけではありません。40代以降をめどに健康管理をきちんとおこなっていけば、将来の心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らしていくことにもつながっていきます。健康な日々を送っていただけるよう、生活習慣の改善に向けたサポートも積極的におこなっていきたいと考えています。
『きくち内科』では、在宅診療をスタートしました。この辺りにお住まいで、通院することが難しくなったという方は少なくない数いらっしゃることと思います。診療室の中だけでサポートをおこなうのではなく、その範囲を広げてより地域の皆様のために貢献していければと考えています。我々のような町医者は、治療を適切にふりわけていく役割を担っています。お身体に関することのお悩みであればどんなことでも構いません。どの科に、どの病院に掛かるべきなのか、ということでも助言が出来ると考えています。この街のかかりつけ医として、気軽にご利用いただけ、街の方々の信頼に応えていけるクリニックでありたいと考えています。
※上記記事は2014.6に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。
※新規登録またはログインすることにより、青葉区.jpの利用規約、およびプライバシーポリシーに同意したことになります。