レディースクリニック服部服部 一志 院長
PROFILE
大学卒業後、産婦人科を専門に研鑽を積む。勤務医として幅広い症例を経験してスキルを磨き、「たまプラーザ駅」そばに開業。
大学卒業後、産婦人科を専門に研鑽を積む。勤務医として幅広い症例を経験してスキルを磨き、「たまプラーザ駅」そばに開業。
やはり、父が医師であったから、ということですよね。お医者さんの子どもというものは親からそうと言われなくとも、自然と同じ道を選びとってしまうものかもしれません。実際、父から「お医者さんになりなさい」と言われたことはなかったのですが、気がつけば同じ道を辿っていました。これは私の息子も同様だったでしょうか。今、クリニックで一緒に働いておりますが、彼に対しても言った記憶はないのです。まあ、実際に口にしますと人間というのは反抗するものですから、言うのを避けていたということがあったのかもしれません。ですから、息子には絶対に言わないようにしていたのですが、彼は彼で充分に察していたようですよ(笑)。父が内科医だったので、私も一般医であり家庭医を志向していました。ところが、大学を卒業する段になり、産婦人科の講師の方から、こう諭されたのです。「考えようによっては、産婦人科は極めて家庭医なんだよ」と。つまり、お母さんを診て、子供も診て、場合によってはメスも握る。また産婦人科は、その家庭のことにまで気を配る仕事です。私はそれを聞いて、「なるほど」と思ったのです。
1991年に『レディースクリニック服部』を開院致しました(東急田園都市線・たまプラーザ駅より徒歩8分)。敷地内には患者さんが集い、ゆっくりとお食事を楽しんでいただけるようなダイニングスペースを設けています。開放的な雰囲気の中で育児のことについてお母さん同士、ゆっくりと語り合っていただければと思っています。
端的に言いますと、子宮を信じるということでしょう。考えてもみてください。陣痛は、必ず予定日近辺で起こるものです。なぜ陣痛は起こるのか。私が医者になった頃よりみんなが血眼になって考えているテーマですけども、いまだ解明されていません。私に言わせますと、子宮が、それ自体が考えているということではないでしょうか。いよいよとなると、陣痛は3分毎に起こるようになってきます。ところが、その陣痛がいつまでも起こらないことが稀にある。一昔前であれば、この段階で医者は陣痛促進剤を使ったものです。現代の医学ではその状態において、おなかの中の赤ちゃんの心拍が思わしくないという報告もあがっています。つまり、子宮が待つ理由がそこにあるわけです。ここに至って、子宮のやりやすい方向に身を委ねるのが最も理にかなう方法だと私は思うのです。自然の営みに任せるということですね。
クリニックでは、ご希望される方にソフロロジー分娩法の指導をおこなっています。この分娩法は、子宮に任せるという根本のところが私の思うところと共通しているように認識しています。お産をコントロールするのではなく、陣痛に任せていくというもの。子宮を信じることが出来れば、陣痛を楽しみに待つという心を持つことも出来るのです。
やはり、その人が何をこわがっているかということを汲んであげなくてはいけませんよね。これは言うは易いことですが、非常に難しいことです。なぜなら、その人その人によって考えや性格は違うわけですから。私たちが出来るのは、おひとりおひとりの心を尊重すること。そして、その人が心配なことについて納得のいく答えを提示してあげなくてはいけません。ただ、大丈夫ですよ、では不充分。なるべく簡潔な言葉で、「これはこうだから、大丈夫」と言ってあげる。単純明快な答えが、お母さんの心配の種を取り除くきっかけになると私は思っています。
今の医学は、ともすれば、「万が一何かあったら…」ということを考え過ぎなような気がします。この薬を使うと、こういう副作用がある。これをすれば、具合が悪くなることがあるかもしれない……。もちろん、情報の開示は大切です。しかし、それによって不安が増す結果となることは避けるべきでしょう。不安は、私たちが考えていれば良いこと。何かあった時の対処は当然頭の中に入れておくべきです。その上で、妊娠している女性達が心の安定を得られるように努めるべきと私は考えています。
子宮はとても頭の良い臓器ですから、あなた自身の子宮を信じて任せてみなさいということですね。それを考えれば、私たちの仕事とは子宮の邪魔をしないことにあるのかもしれません。もちろん、物事に絶対はありませんから、いざという時の準備は必要。それまでは、子宮をとことん信じるべきだと思いますね。
※上記記事は2015.6に取材したものです。
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